Episode 8 ~ハルマゲドンPart2~
それは正に「満員電車」という言葉がピッタリだった。重くて動けない、見えない、痛い。
猛者の暗黒騎士でさえ見る見る血ダルマになって行く!パルセットもいきなりピンチのようだ。
一対一ならば間違いなく余裕の相手なのに、集団になるとこれほどの力になるのか・・・
黒い羽毛に包まれた友人にケアルを連続で放つ、その瞬間カラス達の狙いが私へと切り替わった!
「ディア!パライズ!ポイズ*X?スロー<~@ブライン(以下略)」!!
一瞬で状態異常のスーパーコンボが私に降りかかる・・・
私も若干ピンチになりかけた時、パルセットと暗黒騎士が全体攻撃を放ちタゲを取り返す。
そして2つの羽毛の塊から2人の声が聞こえる「暗闇直してくれ!」「すまん毒だ!」
急いでブライナとポイゾナを掛け、改めて手近なカラスに狙いをつけて斬りかかろうとした時、
「すまん、暗闇だ」「あ、こっちもだ」再び2人の声が聞こえる。
もう一度ブライナを詠唱しだした時、目の前のカラスがブラインを詠唱しているのに気づいた。
私は果てしなく無駄な作業をしている事に気づき詠唱を止め、そのカラスを殴り倒した。
2人のHP、私のMP共に怪しくなってきた頃、私は一つの事に気づいた。
俺って今誰と戦っているのだろう??先程狙いをつけた相手がなぜか近くにいない・・・
そういえば、さっきから剣を振り下ろした記憶も誰かに殴られた記憶もない。
パルセットも最初のスピンアタックの後、さほど拳を振るった様子がない。まさか・・・・
私「おい!ちゃんと目の前奴と戦ってるか??」心配になり黒い塊に叫んでみる。
2人「何言ってるんだよ!戦ってるかってそりゃ、戦ってるに決まって・・・」
一瞬の沈黙の後、2人は揃ってこう言った。
「ごめ~ん。道理でTP溜まんない訳だwあ、あと暗闇よろしく~♪」
私はそのセリフの後半部分を聞く前に部屋の隅に移動し、ヒーリングを始めた。
2人のターゲットも修正し、私のMPも回復したが、やはり圧倒的な敵の数だった。
黒い塊からようやく2人の頭が見える程度になってきたが、3人ではやはりキツイ・・
2人のHPも私のMPも残り僅かになり、脳裏にお花畑とナウシカのテーマが流れ出した。
2人「やべぇw負けるかもしれん~!!」
ぶっちゃけ、私には一つだけ策があった。だが決して実行はしたくなかったのだ。
迷いながらナウシカのテーマを口ずさみそうになったその瞬間・・・
私「コンバート!!」体が光に包まれ私のMPが全快になる!だが次の瞬間最大の恐怖が訪れた。
コンバートを発動した瞬間に付近のカラスが全員こちらを振り向いたのだ!!
彼等特製のパライブライディアポイズンが聞こえてくる・・ランラ~ランララ♪ラン♪ラン♪ラン♪
反射的に2人が全体攻撃を繰り出す!!奇跡的にカラスが全員回れ右をした・・・助かった。
勝利へ向けてパルセットの百烈拳と暗黒騎士のラストリゾート+ブラッドウェポンが発動する!
数分後、黒い羽毛にまみれた3人の男が必死にヒーリングをしていた。誰も口を開かない。
一歩間違えれば大惨事になっていたのだからそれはごく当然のように思える。
だがその沈黙は怒りのせいでも悲しみのせいでもなく、全員ある言葉を待っていたのだ。
パ「さぁ~、もう一回行くかw」笑顔が眩しい。
私・暗「あ、じゃぁ俺らも魔法で釣るよ~♪」全員既に正気の顔ではなかった。
その後、男達の宴は1時間以上も続いたのであった・・・・
~第3章「巡り合いサブリメン」につづく~
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