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mandora
第2章【ヴァナの中心でサブリガが叫ぶ】

Episode 5 ~憧れの港町へ~

LSの猛者達の助けを借りながら、着実にレベルアップを続けていたある日。
俺のモグハポストに、ある友人から手紙が来ていた。
男の名はパルセット、偶然にも同じ日にLSに参加した同じレベルの冒険者である。
「海を渡ってみないかい?」手紙にはそうあった。
セルビナへの憧れを未だに捨てる事の出来ない私にとって、断る理由などなかった。

翌日、商業区の噴水広場で彼と待ち合わせた。出来る限り装備を整え、いざグスタベルグへ。
さすがに2人だと安心感が違う。しかも彼は一足先にウィンダスへ行ってきたらしい。
獣人達をなぎ倒して小銭を稼ぎながら歩いていると気づけば砂丘に入っていた。
そして微かに見えてきた門らしき物体、書かれている文字にはこうあった【セルビナへようこそ】
ついに憧れの港町(さびれた)に来たのだ!見た感じもイメージ通りのさびれ具合だw

「じゃあ、俺は船着場で待ってるよ」パルセットはそう言って、街の奥へと走っていった。
さて、いよいよだ・・・夢にまで見た激安ショッピングを俺は開始したのであった。

五分後・・俺は船上で潮風に吹かれていた。片手に粘土を握り締めながら。
なんて事だ。貧乏人の町だから寂れている訳ではなく、「何もない」からさびれているのか。
「まぁ、元気だせって。気分転換に釣りでもするぞ」そういって私に竿を渡すパルセット。
「ウィンダスはいいぞw金になる獲物が一杯いるし♪」新たな希望を胸に抱き、しばらくの間
船釣りを楽しむ二人であった。
だが、この時私はまだ知らなかった・・着実に忍び寄る恐怖に・・・・

~つづく~


Episode 6 ~あこがれの港町Part2~

俺は潮風に吹かれながら船釣りを楽しんでいた。天気は快晴、正に絶好の釣り日よりであった。
しばしの間釣りに没頭していた2人だが、不意にパルセットが話し始めた。
パ「どうだい?船はいいだろ~♪癒されるよね~。でもさぁ時々海賊がでるんだぜw」
私「海賊?そんなん出るのか~wんで、強いのそいつら??まぁ2人なら勝てるか♪」
パ「いやw絶対無理wwwめちゃくちゃ強ぇえぞ~」
私「ふーん。どんな奴等なんだろう??」
その瞬間パルセットが私の後ろを指差してこう言った。
パ「あんな感じかなぁ」

後ろを振り向いた私は凍りついた。そこにはどこから沸いたのか、骨達が釣り人達を襲っていた!
突然私はパルセットに引っ張られ、船長室に連れて行かれた。「ここは安全だからww」
そこから見る光景は正に地獄だった・・・逃げ惑う釣り人達がバタバタと倒されていく。
少数だが、立ち向かう冒険者もいるようだ。「おおwがんばれ~」2人で応援してたその時。
不意に船長室に釣り人が逃げ込んで来た。「ひぃいい、一緒にかくまってください~」
だが彼は気づいていなかった。既に骨達が彼を追って来ている事を・・・・

私が釣り人にケアルを詠唱しはじめた瞬間、彼は凄い勢いで跳ね飛ばされた!!
パ「安全地帯のはずじゃ・・」そう呟いた時、お骨様がご来店して来たのである。
2人の頭にお花畑が見えた・・・

2人揃って船長室で行き倒れたその時、一人の強者が現れ骨を倒した。
そして2人にレイズをかける。見ず知らずの私を助けてくれるとは、なんて素晴らしい人だろう!
感動のあまり、即座に起き上がり彼に礼を言おうとしたその時、彼が叫ぶ!
「あ、ちょっと待って~!!」その瞬間ドアのすぐ外にいた骨がすごい勢いで飛び掛ってきた。
私の頭に今日2度目のお花畑が見える・・

再び骨を排除した強者が私にレイズをかける。他人を1度ならず2度も助けてくれるなんて・・
私は感動のあまり即座に起き上がり彼に礼を言おうとしたその時。彼が叫ぶ!
「あ、まだ!!」再びドアの外にいた骨が笑いながら船長室に飛び込んできた!!
強者が素早く剣を抜き骨に飛び掛る!同時に起き上がったパルセットも拳を構える!!
私を助ける為に男達は全力で骨に突撃したのだ!
感動で胸が一杯だった私だが、なぜか3度目のお花畑を見ていた・・・

五分後・・俺は潮風に吹かれていた。ここはマウラ、私はついに大陸を渡ったのだ!
パルセットと共にウィンダスを目指して門へと走り出す。
腰のサブリガが夕日に照らされて眩しく光る。そう、今の私にはこれしかないのだ。
レベルダウンした私には、新調してきた装備は何一つ使えないのだから・・・

~つづく~


Episode 7 ~ハルマゲドン~

ジュノに来てから数ヶ月が過ぎ、レベル上げに少々飽き飽きしてきた頃。
ひさしぶりにパルセットから手紙が届く。
「夢を追いかけてみないか?」手紙にはそう書いてあった。
夢・・・なんだろう??とりあえず指定された時刻に上層の酒場前で彼と待ち合わせた。
酒場前には、2人の共通の友人であり、歴戦の猛者である暗黒騎士も来ていた。
パ「よし、んじゃ向かうかw」
私「向かうってどこ行くの??」
パ「オズトロヤ城だよ~♪」

初めて訪れたその城は、薄暗く怪しい雰囲気に包まれていた。
パルセットに導かれるままに辿り付いた場所は、中庭のような吹き抜けの空間だった。
パ「さて、ここのカラスを片っ端から狩るぞ~。」と拳を突き上げる。
私「夢となんの関係が・・」
すると彼はこう答えた。「ここにいるカラスの中にすんごいお宝もってるのがいるんだよw」
その値段を聞いた瞬間、私は迷うことなく手近なカラスに飛び掛って行った

カラス狩りを開始してから数時間が経過した。しかし、お宝はまだ出ない。
疲れが出てきた頃、暗黒騎士が口を開く。「しゃあない。2階のカラスチェックして帰るか」
仕方なく一行は2階へ移動した。

連れて行かれたのは通路の行き止まりにある、小さな隠し部屋だった。
金額は先程とは比べものにならないが、ここにも多少金になる物もってるカラスがいるらしい。
部屋に居るカラスを一掃して休憩を取っていると、パルセットの姿がどこにもない事に気づいた。
「アイツどこいったんだ??」と暗黒騎士と話しながら付近をキョロキョロ見渡していると、
突然パルセットが部屋に駆け込んで来てこう叫ぶ。
「総員戦闘配置につけ!!オズトロヤ大戦に備えよ!」

それは最初、数人のヤグードだった。
戦闘体勢に入った時にはなぜか数グループになっていた。
そして一匹のヤグードに狙いをつけて飛び出した時には部屋一杯の黒い塊になっていた・・・
何も見えない!動けない!訳がわからなかった。
私「なんだこれ!!お前なにやったんだよ!!」できる限り大きな声で叫んでみると、
パ「2階の橋から一階に気孔弾なげてみた♪」まだ成長し続ける黒い塊の中からそう聞こえた。
一階からここまでのヤグードの人数を数えてみる。ちょっとだけ涙がでた。

~つづく~


Episode 8 ~ハルマゲドンPart2~

それは正に「満員電車」という言葉がピッタリだった。重くて動けない、見えない、痛い。
猛者の暗黒騎士でさえ見る見る血ダルマになって行く!パルセットもいきなりピンチのようだ。
一対一ならば間違いなく余裕の相手なのに、集団になるとこれほどの力になるのか・・・
黒い羽毛に包まれた友人にケアルを連続で放つ、その瞬間カラス達の狙いが私へと切り替わった!
「ディア!パライズ!ポイズ*X?スロー<~@ブライン(以下略)」!!
一瞬で状態異常のスーパーコンボが私に降りかかる・・・

私も若干ピンチになりかけた時、パルセットと暗黒騎士が全体攻撃を放ちタゲを取り返す。
そして2つの羽毛の塊から2人の声が聞こえる「暗闇直してくれ!」「すまん毒だ!」
急いでブライナとポイゾナを掛け、改めて手近なカラスに狙いをつけて斬りかかろうとした時、
「すまん、暗闇だ」「あ、こっちもだ」再び2人の声が聞こえる。
もう一度ブライナを詠唱しだした時、目の前のカラスがブラインを詠唱しているのに気づいた。
私は果てしなく無駄な作業をしている事に気づき詠唱を止め、そのカラスを殴り倒した。

2人のHP、私のMP共に怪しくなってきた頃、私は一つの事に気づいた。
俺って今誰と戦っているのだろう??先程狙いをつけた相手がなぜか近くにいない・・・
そういえば、さっきから剣を振り下ろした記憶も誰かに殴られた記憶もない。
パルセットも最初のスピンアタックの後、さほど拳を振るった様子がない。まさか・・・・
私「おい!ちゃんと目の前奴と戦ってるか??」心配になり黒い塊に叫んでみる。
2人「何言ってるんだよ!戦ってるかってそりゃ、戦ってるに決まって・・・」
一瞬の沈黙の後、2人は揃ってこう言った。
「ごめ~ん。道理でTP溜まんない訳だwあ、あと暗闇よろしく~♪」
私はそのセリフの後半部分を聞く前に部屋の隅に移動し、ヒーリングを始めた。

2人のターゲットも修正し、私のMPも回復したが、やはり圧倒的な敵の数だった。
黒い塊からようやく2人の頭が見える程度になってきたが、3人ではやはりキツイ・・
2人のHPも私のMPも残り僅かになり、脳裏にお花畑とナウシカのテーマが流れ出した。
2人「やべぇw負けるかもしれん~!!」
ぶっちゃけ、私には一つだけ策があった。だが決して実行はしたくなかったのだ。
迷いながらナウシカのテーマを口ずさみそうになったその瞬間・・・

私「コンバート!!」体が光に包まれ私のMPが全快になる!だが次の瞬間最大の恐怖が訪れた。
コンバートを発動した瞬間に付近のカラスが全員こちらを振り向いたのだ!!
彼等特製のパライブライディアポイズンが聞こえてくる・・ランラ~ランララ♪ラン♪ラン♪ラン♪
反射的に2人が全体攻撃を繰り出す!!奇跡的にカラスが全員回れ右をした・・・助かった。
勝利へ向けてパルセットの百烈拳と暗黒騎士のラストリゾート+ブラッドウェポンが発動する!

数分後、黒い羽毛にまみれた3人の男が必死にヒーリングをしていた。誰も口を開かない。
一歩間違えれば大惨事になっていたのだからそれはごく当然のように思える。
だがその沈黙は怒りのせいでも悲しみのせいでもなく、全員ある言葉を待っていたのだ。
パ「さぁ~、もう一回行くかw」笑顔が眩しい。
私・暗「あ、じゃぁ俺らも魔法で釣るよ~♪」全員既に正気の顔ではなかった。
その後、男達の宴は1時間以上も続いたのであった・・・・

~第3章「巡り合いサブリメン」につづく~

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